子どもがいるからこそ
チェンジを起こす

子連れMBA®は
働くは自己表現(Makers of Business Art)を始める
ラーニングコミュニティです

Powered by 一般社団法人ぷちでガチ

ブログ

「子連れ×仕事」インタビュー③ PORTO おやこの世界を広げるサードプレイス

子連れMBAでは、「子連れの日(5月20日)」制定にあたり、「子連れ×仕事」のための取り組みに挑戦されている企業・団体さまへのインタビュー企画を実施しています。今回は、神戸三ノ宮の駅近くに「おやこの世界をひろげるサードプレイス PORTO」をオープンした代表の佳山奈央さんにお話を伺いました。

取材・ライティング: 子連れMBAメンバー 八木曜子

PORTO 外観

 

親が自分の人生を楽しむことが一番

 

ーーまずは御社で運営されている場所と理念についてお伺いできますか?

PORTO おやこの世界を広げるサードプレイス代表 佳山奈央さん(以下、佳山):こどもにとって一番身近な親が、自分の人生を楽しそうに生きている背中をこどもに見せることがよいと考えていまして、親もこどもが生まれても、自分のやりたいことを謳歌することを応援したいという理念があります。

その一つの機能として去年の12月からコミュニティスペースを開始しています。親の心地いい時間の過ごし方をしつつ、こどもは遊ばせながら過ごせる、そのサポートのためにも保育士スタッフが常駐していて、大人も読書やちょっとした仕事などができるテーブルスペースが併設されていて、ほどよく見守りつつご自身のやりたいことをしていただけるように心がけています。また、気兼ねなく使ってほしいので、理由を聞かない形で一時預かりもしています。

 

 

ーー神戸では珍しいスペースですが、ご自身の育児観に裏打ちされているんですね。こういったスペースを立ち上げたいと思った経緯についてお話ください。

佳山まずは自分の育った環境です。こどもは環境は選べないですが、どんな環境でも自分の人生を自分として楽しくするにはなにがいる?というのが幼い頃から自分の中でテーマだったんです。

また、母親が離婚したんですが、離婚した後のほうが生活は大変そうではあったのですが、なんというか、自分の人生を生きているように見えたんですね。こどもへの干渉度が違って、親自身が充実してがんばっている様子がポジティブに捉えられたんですね。

そして私自身大学時代に未婚の母になったことで、若いうちにこどもを産んだからといって、やりたいことがやれなかったとは絶対に言わないぞ!自分のやりたいことをやろう!と決めていたんです。親になっても子育てでがまんしない、好きなことをやるという背中を見せることが、こどもの自己肯定感を育むと考えています。

 

ーー親になっても好きなことをやる、という考え方は、私達子連れMBAの「こどもがいるからこそ、じぶんらしく生きる」という思いと繋がるので、大変共感します。佳山さんは29歳でこのスペースを立ち上げられたんですよね。もともと起業意欲をお持ちだったんですか?

佳山:社長になりたい、会社員が嫌、ということではなく、自分が自分の理想とするモノを世の中に直接的に送り出したい、という気持ちが強く、起業もやってみたいと考えていました。

大学を卒業後、リクルートコミュニケーションズのみ受けて数年後に独立する予定で入社しました。SUUMOなどの広告提案がメインでしたが、マンションの共用スペースにNPOなどに入ってもらってキッズスペースや大学のラーニングスペースを作るような、人が地域で交流する場所、そこで刺激を受けて価値観が広がっていく場所のようなものをディベロッパーに提案していました。でも広告会社の本来の仕事ではないので、それ以上ができないことがもどかしく、それなら一回自分で腹据えてやってみようかなという思いいたったのです。

 

お父さんにも使いやすくすることで、さらなる育児参加を促したい

 

ーー昔からひとがつながり変化が起きる場所にご興味があったんですね。実際の利用者はどんな方が多いですか?

佳山:現在1日10-30組程度で、会員数は600組程度です。平日は専業主婦の方や育休中の方も多いですが、またフリーランスの方のご利用も多く、ちょっとした仕事を進めていただいています。wifiもあって机もあるので、リピーターではPC持参のお父さんも多いですね。

場所のイメージとしては、私自身、息子とキドキドに行くのが好きだったのですが、読書やちょっとした仕事など、もう少し親も好きなことをして過ごせたらという思いがあり 保育所併設のコワーキングスペースなども参考にしつつ、プレイスペースとワークスペースが融合している場所を目指しました。反響としては「こういう場所があったんだ!」という声をよくいただきます。

プレイスペース利用は多くのみなさまに使っていただいていますが、特徴としてはお父さんの利用がとても多いです。お父さんにも使いやすくするためにスペースを可愛すぎないようにしています。お母さんなしで、お父さんとお子さんだけでいらっしゃるパターンが多いのは、嬉しいですね。

 

 

ーー私も親子でよく利用していますが、たしかにお父さん連れのお子さんが多いですね。我が家でも父親あるいは母親がこども2人を見る場合、保育士さんがいるこちらのスペースは大人がいて目が届くのでありがたいです。親は少し休んでコーヒーを飲んだり仕事をすることもできますし、こどももこちらが大好きで親子ともに満足しながら利用させていただいています。運営する上での難しいところはありますか?

佳山:ありがとうございます。ご利用いただく方への使い方の提案は未だに難しいですね。もっと振り切ったサービスにしてしまうと、いわゆる意識の高い人しか来ない場所になってしまうと趣旨が叶えられなくなってしまいますので、潜在的に親が自分の好きなことをできる状況とこどもの遊び場が融合していたらいいのになと考えられている方に刺さるように、遊び場として打ち出すように意識しています。

また、子育てに対して「親が自分のやりたいことをあきらめずにやることが、こどもにとっていいことだ」という共通認識を持っている方に支持されているように感じます。

 

ーー親子の関係性への考え方はたくさんありますし、いろんな考えがあっていいと思いますが、こういった親と子両方がやりたいことをやるという発想でのサービスは新しく感じますし、今後にも期待したいです。今後はどういった展開をお考えですか?

佳山:まずはPORTOの黒字化ですが、次に行政がやっている福祉的アプローチとは違うサービスをしていますので、経営を成り立たせるのが第一関門です。女性に共働きやキャリアや育児など求められるものが変わる時代の中で、支援の体制は余り変化していないと感じています。そのサポートの選択肢を広げることが社会の課題としてあると考えています。それを民間から始めて広げていきたいので、補助金なしで経営を回していきたいと考えています。

ーーこどもにとって一番身近な大人としての親が、自身の人生を楽しむ背中を見せることを応援するという理念が、親にも子にもあたたかな社会へと近づいていると感じました。貴重なお話をありがとうございました!

 

 

こちらのPORTOは我が家のまさしくサードスペースで、遊びに行くと誰か知り合いがいて、軽く雑談ができる貴重な場所です。コロナの影響でこどもの遊び場が制限されて育児に負荷がかかりやすいいまだからこそ、知り合いがいる場所の魅力を再認識しています。興味のある方はぜひ足を運んでみてくださいね。

(取材・八木曜子)

 

<プロフィール>
佳山奈央(かやま なお)
おやこの世界をひろげるサードプレイスPORTO/lavieestbelle,Inc. 代表。大学在学中に休学・出産したシングルマザーで、現在小4男子の母。復学・卒業後にリクルートに入社し、主に住まいに関わる事業領域で企画職を担当していたが「こどもにとって一番身近な大人である親がもっと人生を楽しめること、そしてその背中をこどもに見せること」を応援する事業をつくりたい、と2019年に退職。2020年に神戸・三宮にて室内あそび場をコアにしたおやこのためのコミュニティスペースPORTOを設立。PORTOの運営に携わりつつ、将来的に法律・制度面からもアプローチできるようになりたい、と司法試験予備校にオンラインで通学中。

 

<インタビュアー>
八木 曜子(やぎ ようこ)
3歳女子、1歳男子の母。子連れMBA運営。新卒でレコード会社へ入社し、制作宣伝販促をメインに経験。3.11をきっかけにマルタ留学を経て出版社のマーケティング職へ転職、その後結婚で関西へ移動し、専門学校の管理職・マーケティングを経て第一子育休中に第二子不妊治療のため退職。フリーランスを始める。現在は子連れMBAでライフシフトチャレンジやパラレルキャリアチャレンジなど、ライフキャリア支援のプログラムに注力中。

-ブログ
-,

©︎子連れMBA, All Rights Reserved.
Powered by 一般社団法人ぷちでガチ.