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「子連れ×仕事」インタビュー④ パートナーが出産した場合の育児休業取得率83%!株式会社はてな 栗栖義臣社長

子連れMBAでは、「子連れの日(5月20日)」制定にあたり、「子連れ×仕事」のための取り組みに挑戦されている企業・団体さまへのインタビュー企画を実施しています。今回は、ナレッジコミュニティサービス「人力検索はてな」やブログホスティングサービス「はてなブログ」、ソーシャルブックマークサービス「はてなブックマーク」などの開発・運営で有名なIT企業、株式会社はてなの栗栖義臣代表取締役社長にお話を伺いました。インタビュアーは当団体代表赤坂です。

“当たり前の制度”を“当たり前に運用”したい

赤坂美保(以下、赤坂)まずは、御社での子育て環境を充実させる取り組みについてお伺いできますか?

栗栖義臣さん(以下、栗栖)産休・育休制度、在宅勤務補助制度など、どの会社さんにもあるような制度が弊社にもあります。産休・育休制度に関しては、出産する本人はもちろん、パートナーの育休制度利用率が高いことが特徴です。2018~2021年の3年間の実績ですと、パートナーの出産によって育休を取得した社員は71%でした(*)。

*2018~2020年の3年間で出産を迎えた従業員の内、83%が育児休業を取得。(本人が出産した場合:100%、パートナーが出産した場合:71%)https://hatenacorp.jp/recruit/benefits#nursery

出産された本人だけでなく、パートナーが育休取得する際のきっかけ…というものは特になくて(笑)。当たり前の制度を当たり前に運用したいと考えています。弊社のスタッフは真面目で協調性があり、スタッフ同士が一緒に助け合って仕事をしていきたいと考える人が多いです。育休を取得したいと申し出があった際に、みんなで「おめでとう」と祝福し、育休を取得する際の業務量の調整をどう行うかなど、スタッフ全員で前向きに取り組む雰囲気があります。

赤坂 当たり前が実は難しい中で、素晴らしい風土ですね。では次に、御社での「子連れ×仕事」の取り組みについてお伺いできますか?

栗栖 弊社のオフィスは京都と東京にあります。現在はコロナ環境下ということで実施できていませんが、以前は京都オフィスでは有志のメンバーが休日に会社のセミナールームを解放し、祇園祭の巡行を観覧するというイベントを企画してくれました。スタッフの家族も呼び、みんなで楽しみましたね。

会社のファミリーデーという位置づけというより、会社に家族を呼びイベントを楽しむというのが当たり前という雰囲気があるんですよ。

産休・育休取得中のスタッフが会社に訪れることも日常的にあります。弊社には社内外の人が入れる社員交流スペースがあります。京都オフィスでは近くに病院があることから、乳児検診のついでにオフィスに寄って近況を伝えてくれるスタッフもいます。私自身も子供が3人いますが、よく長男が小さい時にはオフィスに連れて行っていました。会社自体、子供が来ても邪険にしない雰囲気がありますね。コロナ禍の現在では、オンラインで懇親会を企画しています。カメラに子供が映ると、みんなでほっこりしていますね。

*写真は東京オフィスのコミュニケーションスペースのようす

また、産休・育休取得者でも社内のネットワークにアクセスできる環境が整っています。男性で育休取得したスタッフが育休ブログを書いたり。社内でのコミュニケーションにSlackを利用していますが、「子育てチャンネル」や「親ばかチャンネル」があったり、スタッフ同士で気軽に子供について話せる雰囲気があります。

赤坂 在宅勤務やフレキシブルな働き方について、御社はどのように取り組まれていますか?

栗栖 裁量労働制で勤務しているスタッフが多いので、ミーティングなど複数人でコラボしなくてはならない業務以外は本人の裁量に任せています。弊社ではコロナ環境下になる前からフレキシブルな働き方を行っています。

 

メンバーの『プライベートの変化』に寛容なチーム

赤坂 当たり前のように男性が育休制度を利用することを話されていますが、現状、男性が育休を取得したくても取得できない状況の方が多いかと思います。実際に、制度を運用する上での課題はありますか?

栗栖 私の妻の職場は女性比率が高く、必然的に産休・育休を取得する方が多いです。おめでたいこととは言え、休業により期待しているメンバーが減るので大変、という話を聞いていました。実際に自分の会社でも育休を取得するスタッフが増えているので、どうやってカバーするか、チームや職場が何をフォローできるかを考えることが大事だと思います。

弊社のサービス、はてなブックマークでも、子育て環境の課題や制度が注目を集めていることがよくあります(*)。スタッフ自身もサービスを作る上で、新しい価値観や情報に触れやすいので、社員自身も古い価値観を変えていきやすい土壌はありますね。

*はてなブックマークで注目される子育て環境にまつわる記事
https://b.hatena.ne.jp/search/tag?q=%E8%82%B2%E4%BC%91

とはいえ、育休を取得するということに対して一番ハードルを感じるのは経営者ではなくチームのメンバーたちです。会社を支えていくのはチームです。チームメンバー内の理解がないと制度も運用されない。ライフステージの変化、突発的なプライベートのトラブルや対応に寛容なチームであるというのが大事だと思います。

私自身、一人目の出産後は子育てに参加していませんでした。妻から後から大変だったと言われましたね。一人目の出産・育児は初めてのことなのでわからないことだらけです。その時にパートナーの信頼を失うと、後から信頼を回復することは非常に大変です。コロナの影響により、この1~2年で家が職場になった人も多いかと思います。家庭のサポートが無いと仕事もうまくいかないと思います。そのためにも仕事だけでなく、家庭の状況を良くするということは大切だと個人的に思っています。

 

子育ての一部に参加している感覚を持ってほしい

赤坂 なるほど、改めて制度をちゃんと当たり前に使えるように運営されてるな、ということが今回のインタビューでわかりました。では最後に、なぜ「スタッフの誰もが当たり前のように制度を利用できるようにしたい」とお考えなのか、お教えいただけますか?


栗栖 過去に、私自身が子供が産まれるタイミングで育休を取得しづらい経験をしたことがありました。そういった経験から「制度はあるのに使えない」というのは働きにくいなと感じたこともあります。

先日、イギリスで保育士活動をされているブレイディみかこさんのエッセイを読みました。子供は国が育てていくという考え方をされていて共感しました。私自身、男の子3人の子育てをしていて、親だけで子供を育てるということは非常に大変だなと思います。
私は小学校で少年野球チームの運営に関わっています。他のご家庭で育った、自分の息子と同じ年頃のお子さんと接する機会があります。そこで出会う少年たちとは人生の中で一部の時間を共有させてもらっているだけですが、子育ての一部に参加している感覚があります。育休取得したメンバーがいるチームで、サポートに回ったスタッフも、子育ての一部に関わった・助け合ったという感覚を持って貰えたら嬉しいです。

赤坂 スタッフの方と共にみんなで子育てをする、というお考えを聞くことができ、多様性豊かなあたたかな社会へと近づいていると感じました。貴重なお話をありがとうございました!

<プロフィール>
栗栖 義臣(くりす よしおみ)
1978年鹿児島生まれ。大阪大学原子力工学科卒業後、大手システムインテグレータに就職。2008年にエンジニアとして株式会社はてなに入社。任天堂との協業事業「うごメモはてな」「Miiverse」などのプロジェクトを担当し、2014年に代表取締役社長に就任。家では3児に囲まれて家事もこなす。

赤坂 美保(あかさか みほ)
10歳と6歳男子の母。子連れMBA主宰。1人目妊娠中&産後にMBAに通い、2人目育休中の2015年に「子連れMBA」を立ち上げる。15年以上の企業勤務を卒業し、子育て関連事業を複数立ち上げ中。子連れMBAを運営する(一社)ぷちでガチ代表理事も務める。

<ライタープロフィール>
石井 詠子(いしい えいこ)
2歳男子、0歳女子の母。子連れMBA運営。新卒で電池メーカーへ入社し、設計開発職を担当。卵巣嚢腫・不育症をきっかけに働き方に疑問を持ち別メーカー職へ転職。育休中の現在は、当コミュニティ運営やパラレルキャリアとして妊娠〜育児までを体験できるボードゲーム制作プロジェクトに邁進中。

 

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